手把肉(手扒肉)
肉・魚介基本情報
- 分類:煮込み肉料理
- 主な地域:内モンゴル全域、特にシリンゴル、フルンボイル
- 主な食材:草原で放牧された羊(2歳前後が最適)、塩
- 別名:手扒肉、手抓肉、蒙古手把肉
歴史的由来
手把肉は、千年以上にわたって受け継がれてきたモンゴル族の伝統美食です。本当に本場の手把肉を味わうなら、やはり草原まで来なければならないとも言われます。
その名は、食べ方そのものに由来します。手をきれいに洗ったあと、片手で肉を持ち、もう一方の手に刀を取り、羊の骨に残る肉まできれいに食べ尽くします。
しかし、手把肉は単なる料理ではありません。それはモンゴル族の文化的な象徴でもあり、「私たちの草原への愛、祖先への敬意、生活への情熱が込められている」と語られます。ナーダム大会では、手把肉はもっとも盛大な儀礼の一部となります。家に客が訪れれば、それはもっとも真摯なもてなしとなり、年中行事や祭りでは、団欒を象徴する味となります。
その歴史は、千年以上にわたるモンゴル族の遊牧生活と切り離すことができません。代々草原に暮らし、牧畜を生業としてきたモンゴル族にとって、羊はもっとも重要な家畜のひとつでした。長い遊牧生活のなかで、祖先たちは、羊肉を清水で煮て、余計な調味料を加えず、塩をひとつかみだけ入れることで、もっとも鮮やかな味を引き出せることを知りました。
この「大道至简」の調理法は、遊牧民族が培ってきた「取于自然、敬于自然」という食の哲学を、もっとも凝縮されたかたちで表しています。
文化的意味
手把肉には、脂がのりながら肉質の柔らかな羊が選ばれます。多くは草原の牧場で育った2歳前後の羊です。羊肉をいくつかの大きな塊へ分け、清水を張った鍋に入れて煮込みます。余計な調味料はほとんど使わず、小さなひとつかみの塩だけを加えるか、鍋から上げる直前に軽く塩を振ります。
上手に仕上がった手把肉は、火が通っていても硬くならず、柔らかく鮮やかな味わいがあります。羊特有の匂いも脂っこさも強くなく、消化もしやすいとされます。
牧民が育てる羊は、沙葱やさまざまな牧草を食べて成長します。そのため、ほんの少しの塩と清水だけでも、すでにきわめて豊かな鮮味を引き出すことができます。
手把肉の食べ方には、草原らしい豪快さがあります。熱いうちに一切れを口へ運ぶこともあれば、いっそ手でつかんでそのまま食べ、大きく何度も噛みしめます。裂けた肉の繊維と豊かな肉汁が口いっぱいに混ざり合い、そのまま満足感とともに飲み込みます。
もし脂が重く感じられたら、酸味と塩味のある漬物を数口食べます。するとすぐに口のなかがさっぱりし、唾液が湧いてきます。その酸味を楽しみながら、さらに大きなカップを取り、白酒やビールを一杯飲むこともできます。
手把肉には、モンゴル族の食文化がもつ多層的な意味が込められています。第一に、「待客至尊」。 手把肉は客人へ示すもっとも真摯なもてなしです。第二に、「祭りの味」。 ナーダム大会における手把肉は、もっとも盛大な儀礼の一部となります。第三に、「団欒の味」。 年中行事や祭りでは、手把肉は人々が集うことの象徴です。第四に、「原味の美」。 清水で煮込み、塩だけを加えるという調理法は、羊肉本来の味に対するもっとも率直な自信の表明です。
簡単な作り方
- 食材:草原羊のスペアリブ(または羊腿)1,000g、塩適量
- 手順:
- 羊肉を大きめの塊(1個約200〜300g)に切り、冷水から鍋に入れます。
- 強火で沸騰させてアクを取り、中火に落として約40〜50分煮込みます。肉の大きさに応じて時間を調整します。
- 鍋から上げる前に塩で味を調えます。あるいは、取り出したあと塩をつけて食べても構いません。
- 熱いうちに手に持って食べ、韭菜花醤やニンニク入り辛味噌を添えます。
コツ:草原で放牧された羊を選ぶと、より鮮やかな味わいになります。煮る際の水は最初に十分な量を入れ、途中で足さないこと。手把肉は「火は通っていても硬くない」状態が大切で、火加減が決め手です。
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