清明 農事
「清明前后,种瓜点豆。」
清明(Qīngmíng)の頃、中国の大部分では気温が安定して上昇し、降雪はほぼ終わり、春は本格的な盛りを迎える。華北平原では冬小麦が 拔节―孕穗(*節間伸長から穂ばらみへの移行期*)に入り、春トウモロコシの播種も全面的に始まる。長江流域では早稲移植がピークを迎え、菜種は莢形成期に入り、水と肥料の需要が最大となる。華南では早稲が分げつ盛期へ入り、春落花生と春トウモロコシは旺盛生長期となる。東北・西北では凍土がほぼ完全に融け、春播きは最後のカウントダウンに入る。
南半球の温帯地域では仲秋を迎える。オーストラリア南東部やアルゼンチンでは秋播き作物が苗期管理の重要段階に入り、葡萄園では秋季剪定が全面展開する。北半球の熱帯では乾季が完全に終わり、雨季が始まる。南半球の熱帯では乾季が確立し、ブラジルの大豆とアフリカのトウモロコシは収穫終盤へ入る。
世界の農事
北半球の温帯地域
物候現象
中国黄河中下流ではキリが盛花期に入り、淡い紫色の花が村や田野を覆う。長江流域とその南では春雨の後に虹が頻繁に現れ、空気は澄みわたる。日本の関東地方では桜が満開となり、見頃の最盛期へ入る。韓国・ソウルでは桃と梨の花が競うように咲き、済州島では春景色がいっそう濃くなる。
農事活動
華北平原の冬小麦は 拔节―孕穗 の移行期へ入り、春トウモロコシの播種が全面的に始まる。地温が安定して 10℃以上 となることが播種開始の目安である。春灌面積も引き続き拡大し、土壌水分が不足する麦畑ではすぐに灌水する必要がある。
長江流域では早稲移植がピークとなる。菜種は莢形成期に入り、荚肥(*莢肥*)として 塩化カリ3〜5kg/ムー を追肥し、菌核病も防除する。
江南の茶区では 明前茶(*清明前に摘採する茶*)の収穫がピークとなる。茶農にとって一年でもっとも忙しい摘採期の一つである。摘採基準は厳しく、通常は 一芽一葉、または一芽二葉 とし、摘採後は品質を保つためすぐに加工する。
華南では早稲が分げつ盛期へ入り、春落花生と春トウモロコシは旺盛生長期となり、圃場管理もより精密になる。
中国北方の果樹園では着果期へ入り、桃、杏、梨は幼果発育期となる。果農は摘果を始め、過密な幼果や奇形果を取り除き、残す果実の品質と大きさを確保する。
東北では凍土がほぼ完全に融け、春播き前のカウントダウンに入る。
物候現象
西ヨーロッパでは気温が10〜15℃で安定し、冬小麦の節間伸長が加速し、果樹園は盛花期へ入る。フランスとドイツではリンゴとナシの花が咲きそろい、田野は一面の新緑となる。中欧では気温が8〜12℃まで上がり、森林も全面的に返青する。鳥類は繁殖活動が活発になり、林の中ではニシコウライウグイスの声が頻繁に聞こえる。ドナウ川の水位は安定し、航行も盛んになる。
農事活動
フランスとドイツの冬小麦は節間伸長盛期へ入り、農家は春季圃場管理を始める。拔节肥 を施し、小麦さび病やうどんこ病など、病害防除の適期にも入る。
ウクライナの黒土地帯では冬小麦が節間伸長から穂ばらみへ全面的に移行し、春季灌漑も大規模に進む。十分な水分を得た肥沃な黒土では旺盛な生育が見られる。
ボルドー、ラインヘッセンなどの葡萄産地では葡萄の芽の動きが速まり、春の中耕、施肥、病害虫防除が並行して進む。
北欧では凍結期が完全に終わり、春小麦の播種が順次始まる。農家は晴天を逃さず播種を進める。
物候現象
カンザス、ネブラスカなど冬小麦地帯では気温が15〜18℃まで上がり、麦畑は急速に緑を深め、旺盛生長期へ入る。カリフォルニア州セントラルバレーではアーモンドの花がすべて散り、幼果が発育し始める。アメリカ南東部では桃と梨が盛花期から着果期へ移り、田野は春景色に包まれる。カナダ・オンタリオ州ではメープルシロップ用樹液の採取が終盤となり、カエデの新芽が動き始める。
農事活動
カンザス、ネブラスカなどでは冬小麦が節間伸長から穂ばらみへ移り、水肥管理はより精密になる。土壌水分が不足する畑ではすぐに灌水し、弱苗には 孕穗肥(*穂ばらみ肥*)を施す。
カリフォルニア州セントラルバレーの果樹園では着果期となり、幼果が膨らみ始める。果農は過密果や奇形果を取り除く摘果を行い、坐果肥(*着果肥*)としてカリ肥を中心に追肥し、病害虫も防除する。リンゴ輪紋病やナシ黒星病なども防除適期へ入る。
アメリカ中西部では春播きが全面的に始まり、トウモロコシと大豆の播種がスタートする。大型播種機が昼夜田畑を走る。南東部では春耕・春播きが最盛期へ入る。
カナダのプレーリー諸州でも気温が上がり、春小麦播種が順次始まる。農家は短い適期を逃さず播種を進める。
物候現象
トルコのアナトリア高原では冬小麦が急速生長期へ入り、田野は青々とする。イランのカスピ海沿岸では杏の花が散り、幼果が発育し始める。北アフリカのモロッコ、アルジェリアでは冬小麦が節間伸長から穂ばらみへ入り、春景色が深まる。
農事活動
トルコ、イランなど中東地域では冬小麦が節間伸長から穂ばらみへ移り、春季灌漑が全面展開する。農家は苗勢を見ながら精密に施肥する。
イスラエル、モロッコなど北アフリカ地中海沿岸でも冬小麦が同じ段階へ入り、追肥、灌漑、病害虫防除が並行して進む。
南アフリカ・ケープ地方では葡萄収穫が完全に終わり、秋季剪定が全面的に始まる。
南半球の温帯地域
物候現象
仲秋を迎える。日平均気温は12〜18℃まで下がり、空気は澄み、降水も少ない。牧草地は全面的に黄変し、秋色がはっきりする。木々の一部は落葉を始める。低地では朝霜が出始め、昼は引き続き夜より短く、秋の深まりが感じられる。
農事活動
冬小麦、大麦、菜種など秋播き作物は出芽後、苗期生長の重要段階へ入る。
農家は 查苗补缺(*出芽を確認し、欠株を補う作業*)を行い、欠苗部分には補播する。干ばつ時には適時灌水し、苗の生長と分げつを促す。アブラムシやネキリムシなど苗期病害虫も防除する。
苗期管理は越冬前の壮苗形成を直接左右し、翌年の収量にきわめて重要である。
葡萄園では秋季剪定が全面展開する。収穫を終えた園はすべて剪定期に入り、余分な枝を除き、樹形を整え、翌年の収量を調整する。
冬小麦収穫後の土地では耕起と休整がすべて終わり、農家は次作の計画を立て始める。
物候現象
気温は15〜20℃へ下がり、秋はいよいよ深まる。草原は全面的に黄変し、田野には豊かな色の階調が現れる。大豆収穫は終盤へ入り、トウモロコシ収穫は全面展開する。朝霜が現れ始め、昼は夜より短くなり、秋らしさが濃くなる。
農事活動
冬小麦、大麦、菜種など秋播き作物は、出芽後の苗期管理が重要段階となる。欠苗を確認して補い、適時灌水し、苗期病害虫を防除する。
大豆収穫は終盤となり、大型コンバインが最後の作業を行う。トウモロコシは全面収穫期となり、パンパは一年でもっとも忙しい収穫期へ入る。
葡萄収穫は完全に終了し、秋季剪定が全面展開する。リンゴとナシの産地でも収穫は最後の段階へ入る。
物候現象
気温は8〜12℃まで下がり、秋が深まる。北島・南島では牧草の生長が明らかに鈍り、草色は全面的に黄色へ変わる。葡萄収穫は完全に終わり、キウイフルーツ収穫がピークとなる。低地では朝霜が頻繁に現れ、昼は夜より明らかに短い。
農事活動
牧場では秋季草地管理が全面展開する。寒地型ライグラスとシロツメクサを追播し、秋肥を施し、放牧密度を調整し、干し草を備蓄する。
秋播き牧草は秋雨と穏やかな気温を利用して速く育ち、冬季用の飼料を蓄える。
キウイ園では収穫がピークとなり、ゴールド系とグリーン系が集中して収穫・選別・包装される。輸出最盛期も続き、大量に北半球市場へ供給される。
葡萄園では秋季剪定が全面的に進み、その質が翌年の葡萄品質を直接左右する。
物候現象
中央渓谷では葡萄収穫が完全に終了し、果樹園の葉は全面的に色づく。リンゴとナシの収穫も終盤となり、果実は十分に成熟する。朝霜が頻繁に現れ、昼は夜より短く、秋が深まる。
農事活動
葡萄収穫は完全に終わり、ワイナリーの搾汁期も最終段階へ入る。リンゴとナシの産地では収穫が終盤となり、輸出包装ラインも最後の注文を処理する。
果樹園では秋季管理が全面展開し、剪定、施肥、病害虫防除が並行して進み、翌年の生長と結実の基礎をつくる。
熱帯・亜熱帯地域
物候現象
乾季は完全に終わり、雨季が始まる。4月は一年でもっとも暑い月で、日平均気温は30℃を超える。同時に、雨季最初の 「透雨」(*土壌を十分に湿らせるまとまった雨*)が4月中下旬に降る。
タイ、ミャンマー、ラオスなどでは一年でもっとも暑い時期と雨季への移行期が重なり、雲量も明らかに増える。インド北部ガンジス平原では小麦が成熟期へ入り、穂は黄金色に実る。中国華南南部では早稲が一面の緑となり、分げつ盛期へ入る。
農事活動
水稲の播種と乾季作物の収穫が同時に進む。
東南アジアでは雨季米の播種・育苗が4月から始まり、雨季が本格化した後の移植に備える。一方、乾季米の収穫はすべて終了する。
農家は 「双抢」――*二つの作業を同時に急ぐ時期*――に入る。乾季作物の収穫を急ぐ一方で、雨季作物の播種も急ぐ。
ベトナム・メコンデルタでは乾季米収穫が完全に終わり、農家は土地を耕して雨季を待つ。カンボジアとタイでも乾季米の収穫は終了し、雨季米の播種・育苗が全面的に始まる。
インド北部ガンジス平原では小麦が全面収穫期へ入り、コンバインが黄金色の麦畑を昼夜走る。インド南部と東部沿岸ではモンスーン前の降雨が増え、水稲播種・育苗も順次始まる。
中国華南南部では早稲が分げつ盛期となり、春トウモロコシと春落花生は旺盛生長期へ入る。
物候現象
乾季が完全に確立する。ブラジル中西部とアフリカ南部では晴天・乾燥した天気が主となり、降雨はほぼ止まる。大豆畑は収穫を終え、田野は裸地となる。アフリカ南部のトウモロコシは成熟後期となり、穂は黄金色に実る。オーストラリア北部のサトウキビ収穫は終盤となる。インドネシアとマレーシアではアブラヤシ果実の収穫がすべて終了する。
農事活動
大豆、トウモロコシなど夏作物の収穫は終盤、あるいはすでに終了している。農家は乾燥、脱穀、貯蔵、販売へ重点を移す。
乾季は穀物を乾燥させるのに最適な時期である。晴天が多く雨が少ないため、十分に乾燥させてから安全に貯蔵できる。
収穫後の土地は休閑へ入るか、小麦、大麦、菜種など灌漑を必要とする乾季作物を栽培する。
ブラジル中部では、大豆収穫後に播く第二期トウモロコシの一部が生長管理へ入り、追肥、灌漑、病害虫防除が並行して進む。
オーストラリア北部ではサトウキビ収穫が最後の段階となり、製糖工場は引き続き忙しい。アフリカ南部ではトウモロコシ収穫も終盤となり、晴天を利用して乾燥・貯蔵する。
中国六大農業地域
| 農業地域 | 主要地域 | キーワード |
|---|---|---|
| 中国東北部 | 黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区東部 | 凍土融解、春播きカウントダウン、種子処理、農機調整 |
| 中国西北部 | 新疆ウイグル自治区、甘粛省、寧夏回族自治区、内モンゴル自治区西部、青海省 | 春小麦播種、冬小麦穂ばらみ、春灌、産羔終了 |
| 華北 | 河北省、山西省、北京市、天津市、山東省、河南省北部 | 冬小麦穂ばらみ、春トウモロコシ播種、春灌、病害虫防除 |
| 長江中下流域 | 湖北省、湖南省、江西省、安徽省、江蘇省、浙江省北部、上海市 | 早稲移植、菜種莢形成、春茶摘採、清溝・湿害防止 |
| 中国西南部 | 四川省、重慶市、貴州省、雲南省、チベット自治区南東部 | 早稲移植終了、条さび病決戦、春茶摘採、ジャガイモ苗期 |
| 華南・中国台湾 | 広東省、広西チワン族自治区、海南省、福建省南部、台湾省 | 早稲分げつ、落花生・トウモロコシ生長、保果、水産養殖 |
黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区東部
清明の頃、東北では凍土がほぼ完全に融ける。表層土壌は 30〜50cm まで解凍し、春播きは最後のカウントダウンへ入る。
日中最高気温は10〜15℃に達することがあり、地表は完全に解凍する。圃場のぬかるみ期も終わり、大型農機が田畑へ入り始める。
春播き前の最終段階。 東北の春播きは通常4月中下旬に始まり、黒竜江では4月15〜20日前後、遼寧では4月5〜10日前後、吉林では4月10〜15日前後が目安となる。
清明から播種までは一〜二週間しかなく、すべての準備をこの段階で終えなければならない。
種子コーティングはすべて完了し、袋詰めして備える。肥料も圃場と作物ごとに分類して配置し、大型農機は最終調整と試運転を終える。
作付け計画もこの時点で確定する。トウモロコシ、大豆、水稲の作付面積比率、各品種の選定と配置などを最終決定する。
土壌水分の観測。 清明は東北農家が 墒情(*土壌水分状態*)を特に注意深く見る時期である。
春旱は東北の春播きにとって最大の脅威の一つである。農家は土を掘って湿度を確認し、土壌相対湿度が 60%未満 の場合は、播種前に十分な水分条件を整えることを検討する。
圃場観察と天気予報を組み合わせて最適な播種時期を判断する。
干ばつ年には、井戸や貯水池などの灌漑水源をあらかじめ確保するか、播種深度をやや深くして湿土層へ届かせる。
わら処理。 冬前にわらの圃場外搬出を終えていない場合、清明は最後の処理時期となる。
播種前に粉砕して土へ鋤き込むか、梱包して搬出しなければならない。処理が遅れると播種品質や出芽へ影響する。
牧区の産羔は全面終了。 内モンゴル東部では清明までに産羔がすべて終わり、新生子羊もすべて生まれている。
牧民の仕事は助産から放牧管理へ移る。牧草が返青し始めるにつれ、家畜は徐々に舎飼いから放牧へ切り替わる。
施設農業。 遼寧南部では温室野菜の生産盛期が続く。気温上昇によりハウス内が高温になりやすいため、昼間の換気と降温を強化する。
ホウレンソウ、ニラ、レタスなど露地野菜も清明の頃から播種・定植を始める。
新疆ウイグル自治区、甘粛省、寧夏回族自治区、内モンゴル自治区西部、青海省
清明の頃、西北では春小麦播種が終盤へ入り、南疆の冬小麦は 孕穗期 へ入り、水肥需要が年間最大となる。
春小麦播種の終了段階。 甘粛河西回廊、寧夏黄河灌漑区では春小麦播種が清明前後に終盤となる。
顶凌播种 の適期も終わる。まだ播いていない圃場は急いで播種を終えなければ、生育期間と収量へ影響する。
播種面積は清明前後で年間最大となり、その品質が西北全体の穀物収量へ直接影響する。
冬小麦穂ばらみ期の管理。 南疆タリム盆地の冬小麦は清明に 孕穗期 へ入る。
幼穂は茎内部で急速に分化・発育し、穂粒数を決める重要段階となる。
穂ばらみ期は水肥需要も最大となるため、50〜60m³/ムー の春灌をすぐに行い、尿素8〜10kg/ムー+カリ肥3〜5kg/ムー を穂ばらみ肥として追肥する。
この時期の小麦は水分不足に最も敏感である。干ばつになると幼穂発育が悪化し、穂粒数が減るため、すべての圃場へ適時に水を行き渡らせる必要がある。
春灌が全面展開する。 甘粛、寧夏、内モンゴル西部では春小麦播種後に 「蒙头水」 を行い、発芽と出芽を確保する。
清明前後は春灌の集中期であり、農家は灌水順序を調整しながら黄河水を十分に活用する。
春季放牧が始まる。 天山北麓、イリ河谷では産羔終了後、家畜を徐々に春牧場へ移す。
牧草は返青を始め、家畜は舎飼いから放牧へ移行する。
ただし春の放牧では強度を抑え、嫩草を食べすぎて牧草の再生を妨げないようにする。放牧時間も徐々に延ばして、青草飼料へ慣らす必要がある。
果樹管理。 南疆のリンゴ、香梨、葡萄などは清明の頃、萌芽から展葉期へ入る。
主な管理は次のとおり。
春季剪定は萌芽前にすべて終える。
萌芽前に 萌芽肥 を施し、窒素肥料を中心とする。
萌芽前には石灰硫黄合剤を散布し、萌芽後はアブラムシ、ハダニなどを防除する。
特色作物。 新疆では綿花播種が清明前後から始まる。
南疆・北疆の綿作地帯では、気温上昇に合わせて順次播種する。綿花は新疆でもっとも重要な経済作物であり、作付面積と播種品質は農家の年間収入へ直接影響する。
河北省、山西省、北京市、天津市、山東省、河南省北部
清明の頃、華北は 冬小麦管理でもっとも重要な時期 へ入り、節間伸長から穂ばらみへの移行と同時に、春トウモロコシ播種が正式に始まる。
冬小麦の節間伸長―穂ばらみ期管理。 華北平原の冬小麦は節間伸長盛期から 孕穗期 へ移る。
茎の節間伸長はほぼ終わり、幼穂が茎内部で急速に発育して、形がほぼ完成する。
穂ばらみ期は穂粒数を決める最後の段階であり、水と肥料の需要も非常に大きい。
管理の要点は次のとおり。
土壌相対湿度が 60%未満 の圃場では、40〜50m³/ムー の灌水をすぐに行う。
弱苗には 孕穗肥 として 尿素5〜8kg/ムー を施す。
旺長圃場では窒素肥料を抑え、徒長と倒伏を防ぐ。
穂ばらみ期は 倒春寒 の最後の脅威期でもある。
天気予報を細かく確認し、夜間気温が 2℃以下 と予想される場合には灌水による保温対策を行う。
春トウモロコシ播種が正式に始まる。 華北平原では春トウモロコシが清明前後から播種期へ入る。
通常は4月上旬から中旬に播種し、清明前後は地温が安定して 10℃以上 となり、土壌水分も適しているため最適な時期となる。
播種深度は 3〜5cm、条間は 60〜70cm とし、播種後は鎮圧して保墒する。
清明には播種面積が大きく増え、農家は晴天を逃さず集中して播種する。
病害虫防除。 気温上昇とともに小麦病害虫は多発期へ入る。
重点対象は次のとおり。
小麦紋枯病 — 茎基部に褐色斑が現れる。井岡霉素または三唑酮を用いる。
麦ダニ — 阿维菌素を用いる。
アブラムシ — 吡虫啉を用いる。
小麦うどんこ病 — 三唑酮を用いる。
農家は少なくとも週一回は圃場を巡回し、病害虫を確認したらすぐに防除する。
春灌は続く。 華北の春灌は清明にも続くが、すでに終盤である。
まだ春灌を終えていない麦畑は急いで作業し、穂ばらみ期の水分を確保する。
果樹園の着果期管理。 華北のリンゴ、ナシ、桃産地では花期がほぼ終わり、着果期へ入る。
果農が重点的に行うのは次のとおり。
摘果 — 過密果、奇形果、病害虫被害果を除き、残す果実の品質と大きさを確保する。リンゴは一花房あたり 1〜2果、ナシは 1〜3果 を残す。
着果肥 — カリ肥を中心に施し、果実発育を促す。
病害虫防除 — リンゴ輪紋病、ナシ黒星病、モモアブラムシなどが防除適期へ入る。
野菜播種・定植。 華北の露地野菜播種はピークとなる。春ダイコン、春ハクサイ、春キャベツなどが播種・定植を始める。
温室のトマト、キュウリ、唐辛子は収穫盛期へ入り、水肥管理と病害虫防除を強める。
湖北省、湖南省、江西省、安徽省、江蘇省、浙江省北部、上海市
清明の頃、長江中下流は 一年でもっとも忙しい農事期 へ入る。
早稲移植のピーク、菜種の莢形成、春茶の全面摘採という三つの中心的農事が重なる。
早稲移植の最盛期。 江南南部――江西、湖南南部、浙江南部――では、早稲苗が清明の頃に 「四叶一心」から「五叶一心」 に達し、大規模移植がピークとなる。
移植後は 3〜5cmの浅水 を保ち、返青 と低位分げつを促す。
江南北部――安徽、江蘇南部、浙江北部――では、早稲苗代が移植前の最後の段階へ入る。
農家は 炼苗(*苗の順化・鍛苗*)を行い、徐々にフィルムを外して換気を増やし、水やりを減らして大田環境へ慣らす。
同時に、灌水、代かき、均平化、元肥施用などの整田も進める。
移植は通常、清明から 谷雨(Gǔyǔ、穀雨) の間に終える。
菜種莢形成盛期の管理。 長江流域の菜種は清明に莢形成盛期へ入る。
若い莢は急速に膨らみ、種子も発育・充実し始める。
莢形成期は菜種の最終収量を決める最重要段階であり、莢数と種子充実度が直接収量を左右する。
主な管理は次のとおり。
荚肥 を施す。カリ肥を中心に、塩化カリ3〜5kg/ムー を追肥する。
菌核病 を防除する。菜種でもっとも重要な病害であり、清明前後が発生ピークとなる。盛花期と莢形成初期にそれぞれ一回ずつ防除する。
倒伏を防ぐ。莢形成期は地上部重量が急増し、強風や大雨で倒れやすい。前期の旺長抑制と適正密植でリスクを下げる。
春茶摘採が全面展開する。 浙江、安徽、江西など江南茶区では清明前後に春茶の第一回大きな摘採ピークを迎え、明前茶 の収穫が全面的に始まる。
明前茶 は品質の高い春茶とされ、芽葉は柔らかく、香りは清らかで、苦味や渋味も軽い。
摘採基準は厳しく、一芽一葉または一芽二葉 とする。
摘採後はすぐに 杀青(*殺青*)、揉捻、乾燥を行い、品質を保つ。
茶農は一年でもっとも忙しい時期へ入り、摘採、加工、販売が途切れなく続く。
清溝・湿害防止。 清明は春雨が増え、圃場湿度も高い。
農家は排水系統を継続して点検し、「三沟」――主溝、腰溝、囲溝――を確実に通しておく。
稲作後の圃場は排水負担が最も大きいため、湿害防止へ特に注意する。
施設野菜と露地野菜。 長江流域の温室果菜類は収穫ピークとなり、トマト、キュウリ、唐辛子が引き続き市場へ出る。
露地では茎レタス、セロリ、ニンニク、春キャベツなどが急速生長期へ入り、水肥管理と病害虫防除を強める。
四川省、重慶市、貴州省、雲南省、チベット自治区南東部
清明の頃、西南では農事が全面展開する。
低温暖河谷の早稲移植は終盤となり、四川盆地の冬小麦は穂ばらみ期へ入り、条さび病防除は最後の決戦期となる。春茶摘採もピークへ入る。
早稲移植の終了段階。 雲南南部――西双版納、紅河――と四川攀西では、清明の頃に早稲移植が終盤となる。
移植後は 3〜5cmの浅水 を保ち、返青と分げつを促す。
雲南の低温暖河谷は熱量が豊富で、移植後の早稲は急速に生長し、一部はすでに分げつ盛期へ入る。
小麦条さび病防除の最終決戦。 四川盆地の冬小麦は清明に 孕穗期 となり、条さび病防除は最後の決戦段階へ入る。
病原菌胞子は拡散が速く、被害も大きい。
清明前後が最後の主要な防除適期であり、ここで十分に抑えられなければ、西南気流に乗って大量に北方麦作地帯へ広がる可能性がある。
四川省農業部門は全面防除を開始し、植保担当者が各麦畑へ入り、巡回と散布を行う。
農家も少なくとも週二回は圃場を確認し、黄色い縞状の胞子堆を見つけたら直ちに報告・防除する。
決戦期は通常、清明から穀雨までの約2〜3週間 続く。
春茶摘採のピーク。 四川、貴州、雲南の低標高茶区では清明に春茶摘採が最盛期となり、明前茶 の収穫が全面展開する。
四川の峨眉山・蒙頂山、貴州の都匀、雲南の普洱など有名茶区は一年でもっとも忙しい摘採期へ入る。
高標高茶区では萌芽が比較的遅く、通常4月中下旬となるため、清明は茶園管理と人員・資材準備の重要時期となる。
ジャガイモ苗期管理。 雲南、貴州、四川の主要産地では春ジャガイモが苗期管理の重要段階へ入る。
農家は欠苗を確認して補い、5〜8cm の深さで第二回中耕を行い、除草と追肥も合わせて進める。
苗肥 として 尿素5〜8kg/ムー を施し、茎葉の生長と塊茎形成を促す。
苗期の生育状態は塊茎数と収量へ直接影響する。
菜種とソラマメ。 四川、貴州の菜種は莢形成盛期となり、莢肥と菌核病防除が必要である。
ソラマメは莢形成盛期から成熟期へ移り、十分な水分供給を確保する。
広東省、広西チワン族自治区、海南省、福建省南部、台湾省
#### (一)大陸華南部
早稲分げつ盛期の管理。 華南の早稲は清明に分げつ盛期へ入る。移植後の苗はすでに完全に 返青 し、多数の分げつを生じ始める。
分げつ期は有効穂数を決める重要段階であり、有効分げつが多いほど最終収量も高くなる。
管理の要点は次のとおり。
3〜5cmの浅水 を保ち、断水させない。
分げつ初期に 分蘖肥 として 尿素5〜8kg/ムー を施す。
分げつ数が目標へ達したら 晒田控苗(*落水して田を一時的に乾かし、生育を調整する技術*)を始める。
排水して 7〜10日 ほど田面を乾かし、無効分げつを抑え、根を深く伸ばす。
晒田は重要な水稲管理技術である。早すぎると有効分げつを減らし、遅すぎると無効分げつが増えて養分を消耗する。
春落花生・春トウモロコシの生育管理。 春落花生は清明に旺盛生長期へ入り、茎葉が急速に伸び、開花と 下针 が始まる。これは受精後の子房柄が土中へ伸びて莢を形成する段階である。
主な管理は、8〜10cm の深さで第二回中耕を行い、花针肥 として 複合肥10〜15kg/ムー を施し、落花生葉斑病やアブラムシなどを防除すること。
春トウモロコシは節間伸長期へ入り、茎が急速に伸びる。水肥管理を強め、拔节肥 として 尿素8〜10kg/ムー を施す。
熱帯果樹の保果と夏梢管理。 海南・広西のマンゴーは幼果発育期へ入り、保果 が重要となる。
果農は保果剤を散布し、過密な幼果を摘果し、マンゴータマバエやアザミウマを防除する。
ライチの早生品種は果実発育期となり、水肥供給を強める。中晩生品種は花期へ入り、受粉条件へ注意する。
広東・広西の柑橘は春梢発生と開花期へ入り、窒素肥料を抑えて春梢の旺長が開花・着果を妨げないようにする。
野菜・水産養殖。 華南の露地野菜は急速生長と収穫ピークを迎える。菜心、芥藍、レタス、ホウレンソウなどは速く育つため、適時に収穫する。
気温上昇後は病害虫の多発期となり、コナガ、アブラムシ、べと病、うどんこ病への防除を強化する。
水産養殖では魚類が急速生長期へ入り、給餌量を徐々に増やし、水質管理と疾病予防を強める。
#### (二)台湾地区
水稲:台湾中部――彰化、雲林、嘉南平原――の一期作稲は清明に 孕穗期 へ入る。
幼穂が茎内部で急速に分化・発育し、穂粒数を決める重要段階である。
田には 3〜5cmの浅水 を保ち、穗肥 としてカリ肥を中心に 塩化カリ5〜8kg/ムー を施す。
南部の高屏地区では穂ばらみ後期から出穂期へ入り、いもち病、紋枯病、メイチュウ類など穂期病害虫へ注意する。
北部の桃園、新竹では清明から苗の移植が始まり、田植え期へ入る。
野菜:清明の頃も台湾各地で野菜の播種・定植が続く。
中部ではスイカ、キュウリ、メロンなど瓜類の播種・育苗がピークとなる。
南部ではショウガ、越瓜などが定植最盛期となる。
トマトは収穫終盤へ入り、病害虫防除を強める。
果樹:柑橘類の春季剪定はすべて終わり、春梢発生と開花管理が全面展開する。
台湾南部のマンゴーは花期から幼果期へ入り、保花・保果が必要となる。
ライチは花期から幼果期へ移り、受粉と着果へ注意する。
台湾南部のバナナは花芽分化期へ入り、水肥管理を強める。
茶:南投、嘉義など中南部茶区では清明に春茶収穫がピークとなる。
春茶は台湾茶業でもっとも重要な生産期であり、その品質が年間の茶業収入を直接左右する。
茶農は摘採、加工、販売を急ぐ。
北部の文山、三峡などでも清明前後から春茶摘採が始まる。
漁業:清明の頃、台湾周辺海域では漁獲の種類と量が引き続き増える。
春季漁撈は繁忙期へ入り、サバ、鰆、鯧、ボラなどが引き続き漁獲される。
沿岸漁船の出漁回数も増え、漁獲物の品質も良好である。
農諺と民俗:台湾民間には、
「清明前,好種田。」
*清明前は田畑を耕し、種を播くのに良い時期。*
という言葉がある。
また、
「清明後,好種豆。」
*清明後は豆類を播くのに良い時期。*
ともいう。
清明は台湾でももっとも重要な伝統行事の一つであり、墓参・祖先祭祀、春の野遊びが主な習俗となる。
「清明掃墓,慎終追遠」 という言葉には、清明に祖先の墓を掃い、先人を偲び、感謝する伝統的な精神が表されている。
世界の異常気象 · リスクと備え
北半球温帯:倒春寒 の最後の脅威
清明の頃は全体として気温が上がるが、寒気が南下する可能性はなお残る。
伝統的な 「清明断雪」――*清明になれば雪は終わる*――という言い方は、寒さそのものが終わる という意味ではない。
清明の 倒春寒 が農業へ与える主な被害は次のとおり。
冬小麦は穂ばらみ期で、幼穂は低温に敏感である。-1〜-2℃ でも凍害を受け、穂粒数が減る可能性がある。
果樹は着果期で、幼果は -2℃以下 になると凍害を受けて落果する可能性がある。
菜種は莢形成期で、幼莢は 0℃以下 で凍害を受ける可能性がある。
清明の倒春寒は春分の頃より発生頻度は低いが、ひとたび起これば被害はやはり大きい。
農諺には、
「清明寒,麦穗短。」
*清明が寒ければ、麦の穂は短い。*
とある。
これは清明の寒さが冬小麦の穂粒数を減らす可能性があるという伝統的な経験を表している。
北半球温帯:強い対流性気象が現れ始める
清明になると、暖湿気流が強まる一方で寒気も残るため、強い対流性気象が増え始める。
雷、にわか雨、強風、雹などの発生頻度が高まる。
農業への影響としては、
雹が果樹の花や幼果を傷つけ、ハウス設備を損傷する。
強風が菜種や小麦を倒し、ハウスを吹き飛ばす。
落雷が森林火災を引き起こす可能性があり、特に北方の乾燥地域では注意が必要となる。
農家は天気予報を細かく確認し、強風や雹の前にハウスを補強し、成熟した作物は可能であれば事前に収穫する。
南半球温帯:秋旱リスクが続く
南半球の仲秋、4月上旬は晴れて乾燥した日が多く、降雨も少ない。
秋播き作物の苗期生長と秋播き牧草はいずれも水分を必要とする。
干ばつが続けば、秋播き作物は弱苗となり、越冬能力と翌年の収量が低下する。牧草の秋播きも失敗し、冬季飼料の確保へ影響する可能性がある。
オーストラリアとアルゼンチンの農家にとって、この時期の最大の懸念の一つは 秋旱の継続 である。
適時の秋雨が農業生産にきわめて重要となる。
熱帯地域:雨季移行期の異常気象
北半球の熱帯――東南アジア、インド――は乾季から雨季への移行期にある。
この時期にはいくつかの極端な気象が起こりうる。
一つは 熱波。4月は一年でもっとも暑い月であり、長期間の高温は作物生長と人の健康へ影響する。
もう一つは 急激な豪雨。雨季初期の最初の雨はしばしば強い降雨となり、局地的な洪水や土砂災害を引き起こす可能性がある。
南半球の熱帯――ブラジル、アフリカ――では乾季へ入り、晴天・乾燥した天気は収穫や乾燥に有利である一方、穀物倉庫の火災リスクが高まる。
世界共通の変化:春雨の分布の変化
地球温暖化を背景に、中国南部の春雨の分布は変化しつつある。
春季降水量そのものは大きく変わらないものの、雨の 「集中度」 が高まり、少数の強い降雨へ集中する一方、その間により長い無降雨期間が挟まれる傾向が強まっている。
これは、春旱と洪水が同じ季節の中で交互に現れる可能性 を意味する。
伝統的な 「清明时节雨纷纷」――清明の頃に細かな春雨が長く続くという感覚――は次第に減り、「降らない時はまったく降らず、降れば一気に豪雨になる」 という極端さが強まっている。
そのため灌漑と排水設備には、これまで以上に高い能力が求められる。干ばつと洪水の両方へ備えなければならない。
農家にとっては生産計画の難しさが増すことになる。
また、伝統的な二十四節気に蓄積された気候経験も、その年その時の実際の天候条件と組み合わせ、柔軟に活用する必要があることを示している。
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