芒種 農事
「芒种芒种,连收带种。」
芒種(Mángzhòng)の頃、中国の大部分では夏収穫・夏播き・夏季管理からなる 「三夏」 の大忙期が全面的に展開し、一年の中でも最も農作業が集中する節気の一つとなる。華北平原では冬小麦が成熟・収穫期へ入り、「龙口夺粮」――悪天候に奪われる前に一刻も早く穀物を確保する――という緊迫した収穫作業が全面展開する。長江流域では菜種収穫がほぼ終了し、早稲は穂ばらみから出穂期へ進む。華南では早稲が出穂・開花期へ入り、収量形成の重要段階を迎える。東北では春播きが全面的に終了し、水稲移植もほぼ完了して、農地は夏季管理へ移る。西北では春小麦が節間伸長期へ入り、綿花は苗期管理の重要段階となる。南半球の温帯では冬へ入り、オーストラリア南東部とアルゼンチンの秋播き作物は越冬休眠期へ進む。北半球の熱帯では雨季が続き、水稲は分げつ期管理へ入り、南半球の熱帯では乾季が深まり、乾季作物が生育期へ入る。
世界の農事
北半球の温帯地域
物候現象
中国黄河中下流では麦畑が全面的に黄変し、芒種の三候の一つ 「麦秋至」――麦にとっての「秋」が訪れる――という時期を迎える。カマキリは卵鞘から孵化し、モズが鳴き始める。長江流域では 梅雨 が全面的に始まり、長雨が常態となり、空気湿度は年間最高水準へ達する。日本の関東地方では梅雨の盛期へ入り、田野は深い緑に包まれる。韓国南部でも雨季に入り、水稲は旺盛に生長する。
農事活動
一年で最も忙しい農作業期となり、「三夏」 の大忙期が全面展開する。華北平原の冬小麦は大規模収穫期へ入り、「麦熟一晌,虎口夺粮」 といわれるように、農家は晴れ間を逃さず刈り取り、乾燥、収納を急ぎ、一粒残らず倉へ収める。小麦収穫後はただちに土地を整え、夏トウモロコシや夏大豆などを土壌水分が残るうちに急いで播種し、同時に夏季管理も進める。長江流域では早稲が穂ばらみから出穂期へ入り、穗肥 の追肥や浅水管理など水肥管理を強化し、梅雨期には冠水・湿害への警戒が必要となる。華南では早稲が出穂・開花期へ入り、水分供給を確保するとともに、「龙舟水」 による洪水被害を防ぐ必要がある。中国北方の果樹園では果実肥大期となり、リンゴ、ナシ、桃などの幼果が急速に発育するため、水肥管理と病害虫防除を強化する。東北では春播きが全面的に終了し、水稲移植もほぼ終わり、夏季の圃場管理へ入る。西北では春小麦が節間伸長期へ入り、綿花は苗期管理の重要段階となる。
物候現象
西ヨーロッパでは気温が20〜25℃まで上がり、冬小麦が全面的に黄変して成熟期へ入り、田野は一面の黄金色となる。フランスとドイツでは初夏を迎え、バラが盛んに咲き、ラベンダーもつぼみをつけ始める。中欧では気温が20℃前後まで上がり、森林は全面的に葉が茂り、夏らしい景観が濃くなる。
農事活動
フランスとドイツの冬小麦は成熟期から収穫初期へ入り、麦穂は全面的に黄変し、農家はコンバインの点検や倉庫設備の準備など収穫に向けた作業を始める。大規模収穫は6月中下旬に始まる見込みである。ウクライナ黒土地帯の冬小麦は登熟後期から成熟期へ進み、田野は黄金色となり、農家は収穫準備へ入る。フランスのボルドー、ドイツのラインヘッセンなど葡萄産地では、葡萄が着果期から幼果期へ進み、幼果が発育・肥大し始める。夏季剪定――副梢除去や誘引――と病害虫防除が並行して行われ、べと病とうどんこ病は防除の重要期へ入る。北欧では春小麦が節間伸長期へ入り、夏季圃場管理が全面展開する。
物候現象
アメリカのカンザス、ネブラスカなど冬小麦地帯では気温が25〜30℃まで上がり、麦畑は全面的に黄変して成熟期へ入る。カリフォルニア州セントラルバレーでは果樹が果実肥大期となり、幼果が急速に発育する。アメリカ中西部では春トウモロコシが節間伸長期へ入り、田野は一面の鮮やかな緑となる。カナダ・オンタリオ州では夏らしい景観が濃くなり、農作物が急速に生長する。
農事活動
カンザス、ネブラスカなどの冬小麦は成熟・収穫期へ入り、農家は晴天を逃さず収穫し、コンバインを点検し、貯蔵施設を準備する。大規模収穫は6月中下旬に始まる見込みである。カリフォルニア州セントラルバレーの果樹園では果実肥大期となり、果農はカリ肥を中心とした 膨果肥 の追肥など水肥管理を強化し、リンゴシンクイガ、ナシヒメシンクイなどの病害虫を防除する。アメリカ中西部の春トウモロコシは節間伸長期へ入り、茎が急速に伸びるため、拔节肥 として 尿素8〜10kg/ムー を施すなど水肥管理を強化し、病害虫防除も進める。南東部の綿花と落花生は旺盛生長期へ入る。カナダのプレーリー諸州では春小麦が節間伸長期へ入り、夏季圃場管理が全面的に進む。
物候現象
トルコのアナトリア高原では冬小麦が成熟期へ入り、麦畑は一面の黄金色となる。イランのカスピ海沿岸では果樹が果実肥大期へ入る。北アフリカのモロッコ、アルジェリアでは冬小麦が収穫期へ入る。
農事活動
トルコ、イランなど中東地域では冬小麦が成熟・収穫期へ入り、農家は晴天を逃さず刈り取り、乾燥、収納を進める。イスラエル、モロッコなど北アフリカ地中海沿岸でも冬小麦が収穫期へ入り、夏季管理が全面展開する。南アフリカ・ケープ地方では葡萄園の冬季休眠が続き、冬季剪定はすべて終了する。
南半球の温帯地域
物候現象
冬を迎え、気温は3〜8℃まで下がり、寒い天候となる。牧草地は枯れ黄色となり、秋播き作物は全面的に越冬休眠期へ入る。霜が頻繁に発生し、高標高地域では降雪が増える。
農事活動
冬小麦、大麦、菜種など秋播き作物は全面的に越冬休眠期へ入り、生長は完全に停止する。農家は冬を利用して農機の点検、農業資材の購入、作付計画の策定を行う。葡萄園は全面的に冬季休眠へ入り、冬季剪定はすべて完了する。牧場は冬季管理へ移り、家畜は舎飼いとなり、補助飼料の給与が全面的に始まり、安全な越冬を確保する。
物候現象
気温は3〜8℃まで下がり、寒い冬となる。草原は枯れ黄色となり、田野は広々とした景観となる。秋播き作物は越冬休眠期へ入り、霜が頻繁に発生し、一部の高標高地域では降雪もみられる。
農事活動
冬小麦、大麦、菜種など秋播き作物は全面的に越冬休眠期へ入る。夏作物の貯蔵と販売はすべて終了する。冬季には農機の点検、農業資材の購入、作付計画の策定を行う。果樹園は冬季休眠へ入り、冬季剪定はすべて完了する。
物候現象
気温は2〜6℃まで下がり、寒い冬となる。牧草の生長は完全に停止し、草色は枯れ黄色となる。落葉果樹はすべて落葉し、キウイフルーツのつるは休眠期へ入る。霜が頻繁に発生し、降雪も増える。
農事活動
牧場は冬季管理へ入り、家畜は舎飼いとなり、補助飼料の給与が全面的に進む。キウイフルーツ園は冬季休眠へ入る。輸出最盛期は続き、北半球市場の需要も旺盛である。葡萄園では冬季休眠期の管理が引き続き進められる。
物候現象
中央渓谷は冬へ入り、気温は引き続き低下し、果樹園では葉がすべて落ち、霜が頻繁に発生する。
農事活動
果樹園では冬季管理が続き、冬季剪定は仕上げ段階へ入り、防寒対策も整えられる。葡萄園は全面的に冬季休眠へ入り、ワイナリーでは葡萄酒の熟成が進む。
熱帯・亜熱帯地域
物候現象
雨季が続き、降雨は豊富で湿度も高い。タイ、ミャンマー、ラオスなどでは水稲が旺盛生長期へ入り、大地は一面の深緑となる。インドでは西南モンスーンが全面展開し、降雨量が増える。中国華南南部では早稲が出穂・開花期へ入り、田野は青々とする。
農事活動
水稲は分げつ期管理へ入る。東南アジアでは移植後の水稲が分げつ期へ進み、農家は 分蘖肥 の追肥と浅水管理を強化し、いもち病、紋枯病、メイチュウ類などの病害虫を防除する。ベトナム・メコンデルタ、タイ中央平原、カンボジア・トンレサップ湖平原では水稲管理の繁忙期となる。インドでも西南モンスーンが全面展開し、水稲分げつ期管理が全面的に進む。中国華南南部では早稲が出穂・開花期へ入り、水分供給を確保するとともに、「龙舟水」 による洪水被害を防ぐ必要がある。
物候現象
乾季が深まり、晴天と乾燥した天候が続き、降雨はゼロとなる。ブラジル中西部では乾季らしい景観が明確となり、アフリカ南部の田野も広く乾いた状態となる。空気は乾燥し、昼夜の寒暖差も大きい。
農事活動
乾季作物は生育管理期へ入る。灌漑条件の整った地域では、小麦、大麦、菜種などが節間伸長から出穂期へ進み、灌漑水源を十分に活用し、拔节肥 の追肥、水分供給、病害虫防除など水肥管理を強化する必要がある。ブラジル中部では第二期トウモロコシが登熟期へ入り、水分供給を確保し、乾季の高温による登熟不足を防ぐ。乾季は農機点検や農業水利施設の保守にも最適な時期となる。
中国六大農業地域
| 農業地域 | 主要地域 | キーワード |
|---|---|---|
| 中国東北部 | 黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区東部 | 春播き終了、水稲移植、トウモロコシ苗期、大豆苗期 |
| 中国西北部 | 新疆ウイグル自治区、甘粛省、寧夏回族自治区、内モンゴル自治区西部、青海省 | 春小麦節間伸長、綿花苗期、冬小麦収穫、果樹管理 |
| 華北 | 河北省、山西省、北京市、天津市、山東省、河南省北部 | 冬小麦収穫、夏トウモロコシ播種、夏大豆播種、三夏大忙 |
| 長江中下流域 | 湖北省、湖南省、江西省、安徽省、江蘇省、浙江省北部、上海市 | 早稲穂ばらみ、梅雨防汛、菜種収穫、清溝・湿害防止 |
| 中国西南部 | 四川省、重慶市、貴州省、雲南省、チベット自治区南東部 | 冬小麦収穫、ジャガイモ管理、春茶終了、果樹園管理 |
| 華南・中国台湾 | 広東省、広西チワン族自治区、海南省、福建省南部、台湾省 | 早稲出穂、龍舟水防汛、落花生・トウモロコシ管理、ライチ収穫 |
黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区東部
芒種の頃、東北では春播きが全面的に終了し、水稲移植もほぼ完了して、農事は全面的に夏季圃場管理へ移る。
春播きが全面的に終了する。 東北の春播きは芒種の頃に全面終了し、トウモロコシと大豆の播種はすべて完了し、播種面積も年間最大に達する。播種品質はすでにほぼ確定し、農家は苗期管理へ移る。
水稲移植がほぼ完了する。 東北の水稲移植は芒種の頃にほぼ終了し、黒竜江・吉林の稲作地帯では田植えが全面的に完了して、移植後の水稲は 返青—分蘖 の段階へ入る。農家は 3〜5cmの浅水 を保ち、分蘖肥 を追肥するなど水肥管理を強化して、返青と低位分げつを促す。
トウモロコシ苗期管理。 春トウモロコシは苗期管理の重要段階へ入り、3〜4葉期 までに間引き・定苗を終えて一穴あたり 1〜2株の壮苗 を残し、第二回中耕を 8〜10cm の深さで行い、除草と追肥を組み合わせる。さらに、苗肥 として 尿素5〜8kg/ムー を施して幼苗の生長と根系発育を促し、トウモロコシメイガ、アブラムシ、地老虎など、防除適期に入る病害虫へ対応する。苗期の生育状態は穂数と最終収量へ直接影響する。
大豆苗期管理。 大豆は苗期管理へ入り、一穴あたり 2〜3株の壮苗 を残す間引き・定苗、中耕と土壌膨軟化、アブラムシ、地老虎など苗期病害虫の防除を進める。
牧区の放牧管理。 内モンゴル東部の牧草は旺盛生長期へ入り、家畜放牧が全面展開する。牧民は輪牧制度を実施し、草地資源を合理的に利用する。
施設農業と露地野菜。 遼寧南部では温室野菜が収穫盛期へ入り、露地野菜も急速生長期と収穫期へ進み、キュウリ、豆類、ナス、唐辛子など夏野菜が大量に出荷される。
新疆ウイグル自治区、甘粛省、寧夏回族自治区、内モンゴル自治区西部、青海省
西北では芒種の頃、夏季管理段階へ入り、春小麦は節間伸長期へ進み、綿花は苗期管理の重要段階となり、南疆の冬小麦は成熟・収穫期へ入る。
春小麦節間伸長期管理。 甘粛河西回廊、寧夏黄河灌漑区では春小麦が節間伸長期へ入り、茎の節間が伸び始め、幼穂は茎内で分化・発育する。節間伸長期は穂数を決める重要段階であり、拔节肥 として 尿素8〜10kg/ムー を追肥し、墒情不足時には速やかに灌水して水分供給を確保するなど水肥管理を強化し、小麦さび病、アブラムシなどを防除する必要がある。この時期の管理は穂数と最終収量へ直接影響する。
綿花苗期管理の重要段階。 新疆の綿作地帯では綿花が苗期管理の重要段階へ入り、一穴あたり 1〜2株の壮苗 を残す間引き・定苗、第二回中耕――深さ 8〜10cm――、苗肥 として 尿素5〜8kg/ムー の追肥、アブラムシ、綿花アザミウマ、地老虎など苗期病害虫の防除を進める。綿花の苗期生育状態は蕾数と最終収量へ直接影響する。
南疆冬小麦の成熟・収穫期。 新疆タリム盆地の冬小麦は芒種に成熟・収穫期へ入り、麦穂は全面的に黄変し、粒は充実して硬くなり、生理的成熟の基準へ達する。農家は晴天を逃さず収穫し、コンバインが刈り取り、脱穀、選別を一工程で行う。収穫後は速やかに乾燥して収納する。冬小麦収穫後はただちに土地を整え、トウモロコシ、綿花など夏播き作物に備える。
果樹園管理。 南疆のリンゴ、香梨、葡萄などは果実肥大期へ入り、果農はカリ肥を中心とした 膨果肥 の追肥など水肥管理を強化し、ナシキジラミ、アブラムシ、ハダニ、リンゴシンクイガなどを防除する。
特色作物。 甘粛・定西のジャガイモは開花期から塊茎形成期へ進み、寧夏のクコは果実発育期から成熟初期へ入り、新疆の加工用トマトは開花から着果期へ進む。
河北省、山西省、北京市、天津市、山東省、河南省北部
芒種は一年の中で最も忙しい農作業期の一つであり、華北では 「三夏」 の大忙期が全面展開し、夏収穫・夏播き・夏季管理が同時に進む。
冬小麦の大規模収穫期。 華北平原の冬小麦は芒種に大規模収穫期へ入り、「麦熟一晌,虎口夺粮」 といわれる緊迫した時期を迎える。麦穂は全面的に黄変し、粒は充実して硬くなり、生理的成熟へ達する。農家は晴天を逃さず収穫し、コンバインが昼夜を問わず稼働して刈り取り、脱穀、選別を一工程で行う。収穫後の小麦は直ちに乾燥し、水分が 13%以下 となってから倉庫へ入れ、一粒残らず確実に収納する。小麦収穫期は通常わずか 5〜10日 しかなく、早すぎれば千粒重が低く、遅すぎれば落粒や降雨による穂発芽の危険が高まるため、農家は収穫適期を正確に判断し、天気予報を細かく確認する必要がある。雨の予報が出た場合は、その前に成熟した麦畑の収穫を優先して終える。農諺 「九成熟,十成收;十成熟,一成丢」 はこの要点を端的に示しており、麦は九分成熟で収穫でき、完全成熟まで待つとかえって落粒で損失が出ることを意味する。
夏トウモロコシ播種。 華北平原では冬小麦収穫後、ただちに土壌水分を逃さず夏トウモロコシを播種する――「夏玉米抢墒,一天不误」。夏トウモロコシ播種は通常6月上旬から中旬に完了し、小麦収穫後に耕起せず、麦わらの間へ直接播種する不耕起直播技術を用いる。播種深度は 3〜5cm、条間は 60cm とし、播種後すぐに 蒙头水 を灌水して出芽を確保する。夏トウモロコシは生育期間が短く、約 100日 であるため、適期播種が重要であり、一日遅れるごとに収量は約 1% 低下する。
夏大豆播種。 華北平原では夏大豆も夏トウモロコシと同時に播種し、通常6月上旬から中旬に不耕起直播で行う。播種深度は 3〜4cm、条間は 40〜50cm とする。夏大豆は華北の重要な輪作作物であり、油料作物でもある。
果樹園管理。 華北のリンゴ、ナシ、桃などは果実肥大期へ入り、幼果が急速に発育・肥大し、果実品質形成の重要段階となる。果農はカリ肥を中心とした 膨果肥 として 硫酸カリ10〜15kg/ムー を施して果実発育と品質向上を促し、リンゴ輪紋病、ナシ黒星病、モモアブラムシ、ナシヒメシンクイなどの病害虫防除を強化する。また、徒長枝や過密枝を除く夏季剪定を行い、通風と採光を改善する。
野菜管理。 華北の露地野菜は急速生長期と収穫期へ入り、キュウリ、豆類、ナス、唐辛子、トマトなど夏野菜が大量に出荷されるため、水肥管理と病害虫防除を強化する必要がある。
湖北省、湖南省、江西省、安徽省、江蘇省、浙江省北部、上海市
長江中下流では芒種の頃、防汛と水稲管理を同時に重視する段階へ入り、梅雨が全面展開し、早稲は穂ばらみから出穂期へ進み、菜種収穫はほぼ終了する。
早稲の穂ばらみ―出穂期管理。 長江流域の早稲は芒種に穂ばらみから出穂期へ入り、幼穂の発育を終えて出穂・開花を始める。これは穂粒数と結実率を決める重要段階であり、田には 3〜5cmの浅水 を保って断水を避け、カリ肥を中心とした 穗肥 として 塩化カリ3〜5kg/ムー を施す。また、天候への注意が必要で、出穂・開花期に長雨が続けば受粉・結実へ影響し、35℃以上 の高温では花粉が失活する可能性がある。梅雨期は曇雨天が多いため、天気予報を細かく確認する必要がある。
梅雨防汛。 長江中下流では芒種に梅雨が全面展開し、長雨が常態となり、降水量も多く、湿度も高い。農家は排水系統を継続して確認し、「三沟」 を確実に通して、圃場の冠水や湿害を防ぐ必要がある。梅雨期は高湿・少日照となるため、いもち病、紋枯病、トビイロウンカなど水稲病害虫が発生しやすく、監視と防除を強化する。
菜種収穫がほぼ終了する。 長江流域の菜種収穫は芒種の頃にほぼ終了し、菜種はすべて収納される。収穫後の土地はすでに耕起され、中稲や晩稲の作付けに備える。菜種は十分に乾燥させてから貯蔵するか、直接搾油工場へ販売する。
清溝・湿害防止。 芒種は梅雨の降水量が多く、圃場冠水リスクが最も高い時期である。農家は排水系統を繰り返し確認し、「雨止沟干」――雨が止めば溝が乾いている状態――を確保する必要がある。稲跡田は排水負担が最も大きいため、特に注意する。
野菜と水産養殖。 長江流域では温室果菜類の収穫盛期が続き、トマト、キュウリ、唐辛子が大量に出荷される。露地野菜も急速生長期と収穫期へ入る。水産養殖では魚類が急速生長期となり、水質管理と疾病予防を強化する必要がある。梅雨期は低気圧・高湿度となるため、養殖池では酸欠や泛塘のリスクに警戒する。
四川省、重慶市、貴州省、雲南省、チベット自治区南東部
西南では芒種の頃、農事活動が夏季管理段階へ入り、冬小麦は収穫期へ進み、ジャガイモは塊茎肥大期となり、春茶摘採はすべて終了する。
冬小麦収穫期。 四川盆地の冬小麦は芒種に収穫期へ入り、麦穂は黄変し、粒も充実する。農家は晴天を逃さず刈り取り、乾燥、収納を進める。収穫後はただちに土地を耕起し、中稲またはその他の夏播き作物に備える。
ジャガイモ塊茎肥大盛期管理。 雲南、貴州、四川の主要産地では春ジャガイモが芒種に塊茎肥大盛期へ入り、地下の塊茎が急速に肥大する。これは収量と商品率を決める重要段階であり、カリ肥を中心とした 结薯肥 として 硫酸カリ8〜10kg/ムー を施す。ジャガイモ最大の病害である疫病は芒種前後に防除ピークへ入るため、代森锰锌または甲霜灵 を用い、7〜10日ごと に一回散布する。水分供給を確保するため適時灌水するが、冠水は避け、中耕・培土によって塊茎が地表へ露出して緑化するのを防ぐ。
春茶摘採が全面終了する。 四川、貴州、雲南の茶区では春茶摘採がすべて終了し、茶農は全面的に夏季茶園管理へ移る。春茶摘採後すぐに剪定し、窒素肥料を中心とした夏肥を追肥し、茶小绿叶蝉、茶尺蠖などの病害虫を防除する。
果樹園管理。 西南の柑橘、ビワ産地では果実肥大期へ入り、柑橘の幼果が急速に発育するため、カリ肥を中心とした 膨果肥 を追肥するなど水肥管理を強化し、ミカンハダニ、ハモグリガ、かいよう病などを防除する。ビワは成熟・収穫期へ入り、農家は晴天を逃さず収穫し、選別、包装して出荷する。
広東省、広西チワン族自治区、海南省、福建省南部、台湾省
#### (一)大陸華南部
早稲の出穂・開花期と「龙舟水」への防汛。 華南の早稲は芒種に出穂・開花期へ入り、幼穂が抽出し、開花して受粉する。これは結実率を決める重要段階であり、田には 3〜5cmの浅水 を保つ必要がある。また、出穂・開花期に長雨が続けば受粉・結実へ影響し、35℃以上 の高温では花粉が失活する可能性があるため、天候への注意が必要となる。さらに、「龙舟水」 への警戒も重要で、華南では芒種前後にこの季節性豪雨の盛期へ入り、強い降雨が頻発するため、排水系統を確実に通し、洪水や冠水被害を防ぐ必要がある。
春落花生・春トウモロコシの生育管理。 春落花生は結莢盛期へ入り、多数の莢が土中で発育・肥大するため、结荚肥 として 複合肥10〜15kg/ムー を施し、水肥管理を強化し、落花生葉斑病、アブラムシ、オオタバコガなどを防除する。春トウモロコシは登熟期へ入り、粒が充実するため、水分供給を確保する必要がある。登熟期は水需要が大きく、干ばつになると千粒重が低下するため、トウモロコシメイガ、アブラムシ、葉斑病などの病害虫防除も行う。
熱帯果樹管理。 早生ライチの 「三月红」、「白糖罂」 は成熟・収穫期へ入り、農家は晴天を逃さず収穫し、選別、包装して出荷する。中晩生品種は果実肥大期へ入り、水肥管理を強化する。マンゴーは果実発育期から成熟前期へ進み、カリ肥を中心とした 膨果肥 を追肥するなど水肥管理を強化し、マンゴータマバエや炭疽病を防除する。柑橘は幼果期から果実肥大期へ進み、夏梢の旺長を抑え、ミカンハダニ、ハモグリガなどを防除する。
野菜と水産養殖。 華南の露地野菜は急速生長期と収穫ピークへ入り、気温上昇後は病害虫も多発期となるため、防除を強化する。水産養殖では魚類が急速生長期へ入り、「龙舟水」 の期間中は洪水被害に警戒し、巡塘と水質管理を強化する。
#### (二)台湾地区
水稲:台湾中部――彰化、雲林、嘉南平原――の一期作稲は芒種に成熟・収穫期へ入り、稲穂は全面的に黄変し、粒も充実するため、農家は晴天を逃さず収穫する。南部の高屏地区では水稲収穫がピークとなる。北部の桃園、新竹では穂ばらみから出穂期へ入る。
野菜:芒種にも台湾各地で野菜の播種・定植が続き、スイカ、胡瓜、甜瓜など瓜類は収穫期へ入り、夏野菜が大量に出荷される。
果樹:台湾南部のマンゴーは成熟・収穫期へ入り、愛文、金煌 などの品種が集中して収穫される。ライチも成熟・収穫期へ入り、玉荷包 などの品種が集中して収穫される。柑橘は幼果期から果実肥大期へ進む。
茶:南投、嘉義など中南部茶区では茶園の夏季管理が全面展開し、剪定、施肥、病害虫防除を進める。文山、三峡など北部茶区では春茶摘採がすべて終了し、夏季茶園管理へ移る。
漁業:芒種の頃、台湾周辺海域では漁獲量が引き続き増え、沿岸漁船の出漁も頻繁となり、漁獲物の品質も良好である。
農諺と民俗:台湾民間には 「芒種逢雷美亦然,端陽有雨是豐年」――芒種の雷、端午の雨はいずれも風雨が順調で豊作となる良い兆し――という言葉が伝わる。また、「芒種夏至,檨仔(芒果)落蒂」 といい、芒種から夏至にかけてマンゴーが熟し始め、収穫期へ入ることを表している。
世界の異常気象 · リスクと備え
北半球温帯:麦収期の豪雨と「烂场雨」
芒種は冬小麦の集中収穫期であり、最も恐れられる天候が 「烂场雨」 である。これは成熟期に長雨が続き、麦穂のまま発芽したり、カビが発生したりして深刻な損失をもたらす現象を指す。中国華北平原、アメリカ・カンザス小麦地帯、ウクライナ黒土地帯はいずれも麦収期に 「烂场雨」 に遭う可能性がある。農家は天気予報を細かく確認し、雨の前に収穫を終える必要があり、すでに成熟した麦畑を優先して刈り取り、収穫後は速やかに天日乾燥または機械乾燥する。農諺 「麦收如救火,龙口把粮夺」 は、麦収の緊迫性を生き生きと表している。
北半球温帯:乾熱風と高温による逼熟
芒種の頃、北方では乾熱風や高温が発生する可能性があり、冬小麦が早期に 「逼熟」 して、粒の登熟が十分に進まず、千粒重が低下することがある。乾熱風の到来前に葉面肥を散布し、適時灌水することで、その影響を効果的に軽減できる。
北半球温帯:強い対流性気象と雹
芒種には強い対流性気象が頻繁に発生し、雷雨、雹、短時間強雨、強風が多くなる。雹は麦粒を打ち落とし、果実を傷つける可能性があり、強風は小麦を倒伏させて収穫を困難にし、損失を増やす。強雨は圃場冠水を引き起こす可能性があるため、農家は天気予報を細かく確認し、晴天を逃さず収穫し、事前に防災対策を整える必要がある。
南半球温帯:冬の厳寒と家畜の防寒
南半球の冬、すなわち6月は寒く、霜が頻繁に発生し、高標高地域では降雪も増える。秋播き作物は越冬休眠期へ入り、弱苗は凍害によって枯死する可能性がある。家畜は舎飼いへ移し、補助飼料の給与を全面展開し、防寒・保温を牧区の最優先課題とする。
熱帯地域:旱魃と洪水が交互に現れるリスク
北半球の熱帯地域――東南アジア、インド――では雨季が続くが、降雨分布が不均一な場合、局地的な洪水や干ばつが発生する可能性がある。強い雨が長く続けば洪水被害が生じ、降雨不足の場合には局地的な干ばつが起こる。南半球の熱帯地域――ブラジル、アフリカ――では乾季へ入り、乾季作物は灌漑水源を十分に活用し、高温・干ばつが作物へ与える影響を防ぐ必要がある。
読者からの声
世界中の暦と伝統文化を愛する人々が、同じ月を見上げる。
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