寒露 農事
「寒露时节天渐寒,农夫天天不停闲。」
寒露(Hánlù)の頃、中国の大部分では気温が明らかに低下し、露も冷たくなり、秋の気配は次第に寒さへと変わる。秋収穫と秋播きは最後の追い込み段階へ入る。華北平原では冬小麦の播種が最盛期を迎え、「寒露种麦正当时」 の季節となる。綿花の収穫も最盛期へ入り、秋収穫はほぼ終了する。長江流域では晩稲が成熟・収穫期へ入り、菜種播種も最盛期を迎える。華南では晩稲が登熟から成熟期へ進み、熱帯果実の収穫が続く。東北では秋収穫がほぼ終了し、秋整地は仕上げ段階へ入り、穀物の乾燥・貯蔵が全面展開する。西北では綿花収穫が最盛期を迎え、冬小麦の出芽後管理が順調に進み、果樹園の収穫も続く。南半球の温帯では春の半ばにあたり、オーストラリア南東部とアルゼンチンでは冬小麦が出穂・開花期から登熟期へ進み、春耕・春播きは終盤へ入る。北半球の熱帯では乾季が始まり、水稲収穫は終盤へ入る。南半球の熱帯では乾季が続く。
世界の農事
北半球の温帯地域
物候現象
中国の大部分では気温が明らかに下がり、北方では寒さが徐々に強まり、南方でも秋の涼しさがはっきりしてくる。雁の南下は最盛期へ入り、菊が満開となり、カエデの葉が赤く色づく。日本の関東地方では紅葉シーズンへ入り、韓国でも秋が深まる。
農事活動
華北平原では冬小麦の播種が最盛期へ入る。「寒露种麦正当时」 の通り、寒露から霜降にかけては華北の冬小麦播種にとって重要な時期である。農家は土壌水分が適した時期を逃さず播種し、冬前までに健壮な苗を育てる。綿花も収穫最盛期へ入り、秋収穫はほぼ終了する。秋作穀物の乾燥と貯蔵も全面的に進む。
長江流域では晩稲が成熟・収穫期へ入り、稲穂が黄変し、粒が充実すると、農家は晴天を逃さず刈り取り、乾燥、収納を進める。菜種の播種も最盛期へ入る。長江流域は中国最大の菜種産地であり、寒露から霜降にかけてが播種の重要な時期となる。農家は適度な土壌水分を利用して播種し、均一な出芽を確保する。秋収穫と秋播きが同時に進む時期である。
華南では晩稲が登熟から成熟期へ進み、粒がさらに充実する。田面を適度に湿潤に保ち、早すぎる断水を避ける必要がある。病害虫防除も続け、10月の華南でも台風の影響を受ける可能性があるため、台風への備えも必要となる。
東北では秋収穫がほぼ終了し、トウモロコシ、水稲、大豆はすべて収納される。秋整地も仕上げ段階へ入り、深松、茎葉のすき込み、圃場外搬出などがほぼ完了する。穀物の乾燥、貯蔵、販売も全面的に進む。
西北では綿花収穫が最盛期へ入り、10月下旬まで続く。農家は晴天を逃さず収穫する。冬小麦の出芽後管理も順調に進み、出芽状況の確認、欠株部分の補播、苗期病害虫の防除を行う。果樹園では収穫が続き、晩生リンゴ品種の 「富士」 が収穫期へ入り、新疆のナツメは収穫最盛期を迎え、葡萄の収穫は終盤へ入る。
物候現象
西ヨーロッパでは気温がさらに下がり、秋色が濃くなる。フランスとドイツではトウモロコシ収穫がすべて終了し、冬小麦の播種が全面展開する。中欧では秋が深まり、多くの樹木が色づく。北欧では日照時間が明らかに短くなる。
農事活動
フランスとドイツではトウモロコシ収穫がすべて終了し、冬小麦の播種が全面的に進む。耕起、基肥施用、播種が同時に行われる。フランスのボルドー、ドイツのラインヘッセンなどの葡萄産地では収穫が終盤へ入り、醸造用葡萄の収穫はほぼ完了し、ワイナリーの圧搾期も最終段階へ入る。ウクライナの黒土地帯ではトウモロコシ収穫がすべて終了し、冬小麦の播種が全面展開し、秋播きが最も忙しい時期を迎える。
物候現象
アメリカのカンザス、ネブラスカなど冬小麦地帯では春小麦の収穫がすべて終了する。カリフォルニア州セントラルバレーの果樹園では成熟・収穫の最盛期が続く。アメリカ中西部の春トウモロコシ収穫は終盤へ入り、田野は次第に開けた景観となる。カナダ・オンタリオ州でも農作物の収穫が終盤へ入る。
農事活動
アメリカ中西部では春トウモロコシの収穫が終盤へ入り、冬小麦の播種が全面展開する。カリフォルニア州セントラルバレーの果樹園は成熟・収穫最盛期が続く。アメリカ南東部では綿花が収穫最盛期へ入り、落花生収穫は終盤へ進む。カナダのプレーリー諸州では春小麦の収穫がすべて終了する。
南半球の温帯地域
物候現象
春の半ばにあたり、気温は 15〜20℃ まで上昇し、春らしい景観が濃くなる。冬小麦、大麦、菜種など秋播き作物は出穂・開花期から登熟期へ進む。牧草は旺盛に生育し、春の景観が豊かになる。
農事活動
冬小麦、大麦、菜種など秋播き作物は出穂・開花期から登熟期へ進む。これは穂粒数と千粒重を決める重要段階である。出穂から登熟初期の追肥 としてカリ肥を中心に施し、水分供給を確保する。アブラムシ、さび病、うどんこ病などは防除の重要期へ入る。春耕・春播きは終盤へ入り、牧場でも春季管理が引き続き進む。
物候現象
春の半ばとなり、気温は 15〜20℃ まで上昇する。冬小麦、大麦、菜種など秋播き作物は出穂・開花期から登熟期へ進む。草原は青々と茂る。
農事活動
冬小麦、大麦、菜種など秋播き作物は出穂・開花期から登熟期へ進み、生殖生長期の追肥、十分な水分供給、病害虫防除など圃場管理を強化する必要がある。春耕・春播きは終盤へ入る。
熱帯・亜熱帯地域
物候現象
乾季が始まり、晴れて乾燥した日が増える。タイ、ミャンマー、ラオスなどでは水稲収穫が終盤へ入る。インドでは西南モンスーンが完全に終了し、乾季へ入る。中国華南南部では晩稲が登熟から成熟期へ進む。
農事活動
水稲収穫は終盤へ入る。東南アジアでは水稲収穫が全面的に終盤へ入り、農家は晴天を逃さず収穫、乾燥、収納する。インドでも水稲収穫が終盤へ入る。中国華南南部では晩稲が登熟から成熟期へ進み、田面を適度に湿潤に保ち、早すぎる断水を避ける。病害虫防除と台風対策も続ける。
物候現象
乾季が続き、晴れて乾燥した天候となる。ブラジル中西部では乾季らしい景観がはっきりしている。
農事活動
乾季休耕期へ入り、農家は乾季を利用して土地の整備、農業水利施設の保守、農機点検を行う。
中国六大農業地域
| 農業地域 | 主要地域 | キーワード |
|---|---|---|
| 中国東北部 | 黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区東部 | 秋収穫終了、秋整地仕上げ、穀物貯蔵、茎葉処理 |
| 中国西北部 | 新疆ウイグル自治区、甘粛省、寧夏回族自治区、内モンゴル自治区西部、青海省 | 綿花収穫、冬小麦出芽、果樹収穫、秋播き管理 |
| 華北 | 河北省、山西省、北京市、天津市、山東省、河南省北部 | 冬小麦播種、綿花収穫、秋収穫終了、乾燥・貯蔵 |
| 長江中下流域 | 湖北省、湖南省、江西省、安徽省、江蘇省、浙江省北部、上海市 | 晩稲収穫、菜種播種、秋収穫・秋播き、乾燥・貯蔵 |
| 中国西南部 | 四川省、重慶市、貴州省、雲南省、チベット自治区南東部 | 菜種播種、果樹収穫、秋収穫終盤、秋播き管理 |
| 華南・中国台湾 | 広東省、広西チワン族自治区、海南省、福建省南部、台湾省 | 晩稲登熟、熱帯果実、台風対策、圃場管理 |
黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル自治区東部
寒露の頃、東北では秋収穫がほぼ終了し、秋整地も仕上げ段階へ入る。農事の中心は 「収穫」から「貯蔵」と「整地」へ 全面的に移行する。
秋収穫はほぼ終了。 東北の三大作物――トウモロコシ、水稲、大豆――は寒露の頃にほぼすべて収穫を終え、穀粒は収納される。秋収穫作業は基本的に終了し、ごく一部の晩生品種や天候の影響で収穫が遅れた圃場のみ、引き続き急いで収穫する。
秋整地は仕上げ段階へ。 東北の秋整地は寒露に仕上げ段階へ入る。深松・整地 は 30〜35cm の深さまで行い、耕盤を破砕する。大部分の面積ではすでに完了しており、残る圃場は土壌が凍結する前に仕上げる。
茎葉の圃場還元 では、トウモロコシの茎葉を粉砕して圃場へすき込む。大部分ではすでに完了しており、残る部分も土壌凍結前に終える。茎葉の圃場外搬出 も、梱包して運び出す作業が大部分で完了している。秋整地の品質は翌春の播種と年間収量へ直接影響するため、土壌凍結前にすべて完了させる必要がある。
穀物の乾燥・貯蔵が全面展開。 東北の秋作穀物――トウモロコシ、水稲、大豆――は寒露に本格的な貯蔵段階へ入る。収穫後は十分に乾燥させ、トウモロコシは 水分14%未満、水稲は 14%未満、大豆は 13%未満 まで下げてから貯蔵する。乾燥が遅れるとカビや品質低下を招く。
十分に乾燥した穀物は倉庫へ入れ、施設では防湿、防虫、防鼠対策を行う。一部の穀物は収穫後すぐに販売され、農家は市場価格と自身の必要に応じて販売時期を判断する。穀物貯蔵の品質は農家の年間収入と翌年の生産投入へ直接影響する。
茎葉処理。 東北ではトウモロコシの茎葉が大量に発生するため、寒露は処理の最後の時期となる。圃場還元 では粉砕後に深くすき込み、土壌有機物を増やす。ただし、投入量が多すぎると翌作物の苗期に一時的な窒素不足を招く可能性がある。圃場外搬出 では梱包後、飼料、バイオマス燃料、製紙原料などとして利用する。茎葉処理は土壌凍結前に完了しなければ、翌春の播種へ影響する。
牧区の冬季飼料備蓄。 内モンゴル東部では冬季飼料備蓄が最終段階へ入り、牧草の刈り取り、乾燥、梱包、貯蔵を全面的に完了し、家畜の安全な越冬へ備える。
施設園芸。 東北では寒露の頃に温室野菜が定植期へ入り、秋冬期の温室野菜生産が全面展開する。
新疆ウイグル自治区、甘粛省、寧夏回族自治区、内モンゴル自治区西部、青海省
西北では寒露の頃、秋季管理の重要段階へ入り、綿花収穫は最盛期、冬小麦の出芽後管理が順調に進み、果樹園の収穫も続く。
綿花の収穫最盛期。 新疆の綿作地帯では寒露に綿花収穫が最盛期へ入り、多数の綿鈴が吐絮し、白い綿繊維が現れる。農家は晴天を逃さず収穫する。新疆綿区ではなお手摘みが中心で、完全に吐絮した白綿のみを収穫し、まだ開き切っていない青綿や汚染された綿は採らず、収穫時の異物混入を防ぐなど厳格な基準がある。収穫後は速やかに乾燥、選別、梱包して収納または販売する。
収穫は10月下旬まで続き、寒露から霜降にかけてが最も集中する時期となる。天気予報を細かく確認し、降雨や早霜が予想される場合には、その前に収穫を終える必要がある。雨や霜は綿繊維の品質低下を招く。早く収穫しすぎると繊維が十分に発達せず、品質と収量が低下する。遅すぎると風によって綿が落ちたり、繊維が黄変して品質が低下したりしやすい。
冬小麦の出芽後管理。 西北では寒露に冬小麦の苗期管理が順調に進む。9月中下旬に播種した冬小麦は順次出芽し、苗期の生育段階へ入る。
管理の要点は、まず 出芽状況を確認し、欠株部分を補播すること である。欠株や欠条を確認した場合には速やかに補播する必要があり、遅すぎると幼苗が安全に越冬できない。
苗期病害虫防除 では、アブラムシ、ネキリムシなど、幼苗を加害する害虫を速やかに防除する。さらに、苗期雑草は小麦苗と水分・養分を競合するため、越冬前の除草 も必要となる。
また、越冬前の健壮苗育成 が重要である。冬前までに 3〜5本の分げつ と発達した根系を持つ健壮苗を形成することが、安全な越冬と翌年の豊作の基礎となる。弱苗圃場では 尿素3〜5kg/ムー を苗期追肥として施し、生育を促す。冬小麦の出芽状態は越冬生存率と翌年の収量へ直接影響する。
果樹園の収穫継続。 南疆ではリンゴ、香梨、葡萄などの収穫が続く。晩生リンゴ品種の 「富士」 は10月に収穫期へ入る。中国を代表する晩生リンゴ品種のひとつで、主な収穫時期は10月中下旬であり、リンゴ収穫の最後を飾る品種となる。果農は着色度と糖度を基準に収穫時期を判断し、収穫後は速やかに予冷、選別、包装、冷蔵または販売する。
新疆のナツメは10月に収穫最盛期へ入り、新疆を代表する特色ある果樹産品のひとつである。主な収穫期は10月中下旬で、収穫後は速やかに乾燥、選別、包装、販売する。葡萄収穫は終盤へ入り、生食用品種はほぼ終了し、醸造用品種の収穫はすべて終了する。
果農は果実成熟度に応じた適期収穫を行う。リンゴの収穫基準は 果皮着色度80%以上、硬度8kg/cm²以上、糖度13%以上。収穫後は速やかに予冷、選別、包装、冷蔵または販売し、その後、剪定と 秋の施肥 を行う。秋施肥は有機質肥料を中心とし、翌年の生育と結実に極めて重要である。
特色作物。 甘粛・定西のジャガイモ収穫はすべて終了する。寧夏のクコ収穫もすべて終了する。新疆の加工用トマト収穫もすべて終了する。
河北省、山西省、北京市、天津市、山東省、河南省北部
華北では寒露の頃、秋播きの最も重要な段階へ入る。冬小麦播種が最盛期を迎え、「寒露种麦正当时」 の季節となる。綿花収穫も最盛期となり、秋収穫はほぼ終了する。
冬小麦播種の最盛期。 「寒露种麦正当时」――華北では寒露の頃、すなわち10月上旬から中旬に冬小麦播種が最盛期へ入る。これは華北における一年で最も重要な農事の節目のひとつであり、播種品質は越冬生存率と翌年の収量へ直接影響する。
播種技術の要点は、まず 耕起・整地。20〜25cm の深耕を行い、丁寧に整地する。圃場を平坦に整えることは播種品質を確保する基本である。
基肥 は 複合肥料20〜25kg/ムー+農家肥 を基本とし、地力に応じて施肥量を調整する。
種子選び では、耐寒・耐乾燥・耐病性に加え、収量性も総合的に考慮する。晩播の場合には晩播適性のある品種を選ぶ。
適期播種 の播種深度は 3〜5cm。浅すぎると凍害を受けやすく、深すぎると出芽へ影響する。条間は 15〜20cm、播種量は 10〜15kg/ムー とし、地力、品種、播種時期に応じて調整する。晩播では播種量を増やし、播種が1日遅れるごとに0.5kg 増量する。
播種後は 鎮圧して土壌水分を保持 する。鎮圧は均一な出芽を確保する重要な作業であり、出芽率を 10%以上 高めることができる。
寒露から霜降にかけてが華北の冬小麦播種にとって重要な適期であり、霜降より遅く播種すると、冬前の積算温度が不足して弱苗となり、越冬生存率と翌年の収量へ影響する。
綿花の収穫最盛期。 華北では寒露に綿花収穫が最盛期へ入り、多数の綿鈴が吐絮する。農家は晴天を逃さず収穫、乾燥、選別、梱包、販売を進める。収穫は10月下旬まで続く。
秋収穫はほぼ終了。 華北では夏トウモロコシ、春トウモロコシ、大豆、落花生などの秋収穫が寒露にほぼすべて終了する。穀粒は収納され、茎葉処理も完了し、秋収穫作業は基本的に終了する。
果樹園の収穫継続。 華北ではリンゴ、ナシなどの収穫が続く。晩生品種の 「富士」 は10月に収穫期へ入り、華北では10月中下旬が主な収穫期となる。中生品種の収穫は終盤へ進む。ナシは収穫終盤またはほぼ終了する。
果農は適期収穫、収穫後管理、秋施肥に注意する。秋施肥は翌年の生育と結実に極めて重要であり、有機質肥料を中心に 2〜3トン/ムー を施し、複合肥料を併用する。
野菜管理。 華北では秋白菜、秋大根、秋ホウレンソウなど秋播き野菜が生育の重要段階から収穫期へ進む。秋白菜は結球期から収穫期へ入り、水肥管理を強化し、結球を促す追肥として尿素5〜8kg/ムー を施すとともに、病害虫防除を行う。秋大根は肉質根の肥大期へ入り、水肥管理を強化する。
湖北省、湖南省、江西省、安徽省、江蘇省、浙江省北部、上海市
長江中下流では寒露の頃、秋収穫と秋播きが最も忙しい時期へ入り、晩稲は成熟・収穫期、菜種播種は最盛期を迎える。
晩稲の成熟・収穫期。 長江流域の晩稲は寒露に成熟・収穫期へ入り、稲穂が黄変し、粒が充実して硬くなり、生理的成熟へ達する。農家は晴天を逃さず収穫し、水稲用コンバインが田で作業する。収穫後は速やかに乾燥し、水分14%未満 まで下げてから貯蔵するか、機械乾燥する。
晩稲の収穫適期は通常 1〜2週間 しかないため、天気予報を細かく確認する必要がある。中国西部に続く秋の長雨 や台風による降雨が予想される場合には、雨前に収穫を終える必要がある。早く収穫しすぎると粒が十分に充実せず、千粒重が低下し、秕粒が増える。遅すぎると落粒や雨による発芽が起こりやすい。寒露から霜降にかけてが長江流域の晩稲収穫にとって重要な時期である。
菜種播種の最盛期。 長江流域では寒露に菜種播種が最盛期へ入る。中国最大の菜種産地にとって、一年で最も重要な農事の節目のひとつである。
播種技術の要点は、まず 20〜25cmの深耕と丁寧な整地。水稲収穫後は土壌が固くなる前に速やかに耕起する。
基肥 として 複合肥料20〜25kg/ムー+ホウ素肥料 を十分に施す。菜種はホウ素欠乏に敏感で、欠乏すると開花しても莢や種子が十分に形成されない。土壌中の有効態ホウ素が少ない地域では、さらに ホウ素肥料1〜2kg/ムー を追加する。
品種は高収量・高品質・耐病性を持つ 「中油」、「华油」 系列などを選ぶ。
適期播種 は 2〜3cm の深さで行う。菜種は深播きより浅播きを基本とする。条間は 25〜30cm、直播の場合の播種量は 0.3〜0.5kg/ムー。移植栽培の場合にはあらかじめ育苗し、苗齢 30〜35日 で移植する。
播種後は鎮圧して土壌水分を保持する。排水対策は特に重要である。長江流域では秋雨が多く、菜種苗は湿害に弱いため、主排水溝・圃場内横溝・周囲排水溝からなる三段階の排水体系 を整える。各排水溝の深さはそれぞれ 80cm、60cm、40cm以上 とする。菜種の播種品質は出芽と越冬前の健壮苗形成へ直接影響する。
晩稲収穫と菜種播種の連携。 長江流域の稲―菜種輪作地域では、「晩稲収穫―菜種播種」 の連携が秋収穫・秋播きの重要な工程となる。晩稲を収穫した直後に耕起・整地して菜種を播き、農事適期を逃さない。収穫から播種までの間隔は短いほどよく、秋の光と熱を十分に利用して、冬前に菜種の健壮苗を形成できる。
病害虫防除。 寒露の頃、晩稲の病害虫防除は最終段階へ入る。重点防除対象は いもち病(穂首いもち) で、三環唑(トリシクラゾール)または稲瘟霊(イソプロチオラン) を用いる。紋枯病 には 井岡霉素(バリダマイシン)または苯甲・丙環唑(ジフェノコナゾール+プロピコナゾール)、ウンカ類 には イミダクロプリドまたはブプロフェジン を用いる。農家は圃場巡回を強化し、病害虫を確認した場合には速やかに防除する。
野菜と水産養殖。 長江流域では秋白菜、秋大根、秋レタス、ホウレンソウ、セロリなど秋播き野菜が生育の重要段階から収穫期へ入る。水産養殖では気温がさらに低下し、魚類の摂餌量が徐々に減るため、給餌量を調整し、越冬準備を進める。
四川省、重慶市、貴州省、雲南省、チベット自治区南東部
西南では寒露の頃、秋収穫と秋播きの重要段階へ入り、菜種播種は最盛期、果樹園は成熟・収穫期へ進み、秋収穫は終盤となる。
菜種播種の最盛期。 西南では寒露に菜種播種が最盛期へ入る。四川、貴州は中国の重要な菜種産地であり、秋播き作物の中で菜種の作付面積が最も大きい。農家は適度な土壌水分を利用して耕起、基肥施用、播種、鎮圧、排水設備の整備を進め、均一な出芽を確保する。播種品質は出芽と越冬前の健壮苗形成へ直接影響する。
秋収穫は終盤。 西南では中稲、トウモロコシ、大豆などの秋収穫が寒露に終盤へ入り、穀粒は収納され、秋収穫作業はほぼ終了する。
果樹園管理。 西南の柑橘産地では果実着色期から成熟前期へ進み、果実の着色と糖分蓄積が続く。これは柑橘品質を決める重要段階である。糖分蓄積と着色を促すため、硫酸カリ5〜8kg/ムー を追肥する。これは品質向上にとって最も重要な施肥のひとつである。
水分は適度に抑えて糖分蓄積を促すが、過度の乾燥で果実肥大へ影響しないよう注意する。ミカンハダニ、ハモグリガ、かいよう病、炭疽病などは防除の最終段階へ入る。
広東省、広西チワン族自治区、海南省、福建省南部、台湾省
#### (一)大陸華南部
晩稲の登熟―成熟期管理。 華南の晩稲は寒露に登熟から成熟期へ進み、粒が充実して成熟へ移行し始める。これは千粒重を決める最後の段階である。田面を適度に湿潤に保ち、早すぎる断水を避ける。登熟期に早く断水しすぎると粒の充実が不十分となる。
カリ肥を中心とした 登熟期追肥 として 塩化カリ3〜5kg/ムー を施す。いもち病、紋枯病、ウンカ類などは防除の最終段階へ入る。華南では10月にも台風の影響を受ける可能性があり、暴風雨によって水稲が倒伏することがあるため、台風対策も続ける。登熟から成熟期の管理は千粒重と最終収量へ直接影響する。
熱帯果実管理。 広東、広西、海南のバナナは果実発育期から成熟前期へ進み、水肥管理を強化する。カリ肥を追肥して果実発育を促し、台風対策としてバナナ株を補強し、排水溝を清掃する。柑橘は果実着色期から成熟前期へ進み、糖分蓄積と着色を促すためカリ肥を施し、ミカンハダニ、ハモグリガ、かいよう病などを防除する。
台風対策。 華南では寒露の頃にも台風の影響を受ける可能性がある。10月は華南における台風活動の終盤であり、発生頻度は下がるものの、なお警戒が必要である。農家は台風警報を細かく確認し、事前に防災対策を進める。
野菜と水産養殖。 華南の露地野菜は急速生長期と収穫最盛期へ入る。水産養殖では気温が徐々に低下するため、給餌量を調整し、越冬準備を進める。
#### (二)台湾地区
水稲:台湾中部――彰化、雲林、嘉南平原――では二期作稲が寒露に成熟・収穫期へ入る。南部の高屏地区では二期作稲が収穫期へ入る。北部の桃園、新竹では二期作稲が登熟から成熟期へ進む。
野菜:寒露の頃、台湾各地では秋播き野菜が生育の重要段階から収穫期へ入る。
果樹:柑橘は果実着色期から成熟前期へ進み、バナナは果実発育期から成熟前期へ進む。
茶:南投、嘉義など中南部茶区では茶園の秋季管理が続き、秋茶の摘採、剪定、施肥を進める。文山、三峡など北部茶区でも秋季管理が続く。
漁業:寒露の頃も台湾周辺海域では漁獲が続く。台風シーズンは終盤へ入る。
農諺と民俗:台湾民間には 「寒露過,十月涼」――寒露を過ぎると十月の気候は涼しくなる――という言葉が伝わる。また、「寒露霜降,胡豆麥子在坡上」 は、寒露から霜降の頃がソラマメや小麦を播く季節であることを表している。さらに 「寒露吃芝麻」 の習慣があり、寒露の頃にゴマを食べて季節の養生を行う。
世界の異常気象 · リスクと備え
北半球温帯:早霜――西北・華北の冬小麦幼苗にとって最大の脅威
寒露の頃、西北――新疆北部、甘粛河西回廊――と華北北部では早霜リスクが続き、10月上旬から中旬に早霜が発生する可能性がある。早霜は出芽したばかりの冬小麦幼苗に脅威となる。若い苗は耐寒性がまだ弱く、特に 2〜3葉期 が最も弱いため、霜によって枯死する可能性がある。
対策として、長期的には耐寒性品種を選ぶ。適期に播種して冬前までに健壮苗を形成し、耐寒性を高める。霜予報前には 霜前灌漑 を行い、地表温度を 2〜3℃ 高める。また、耐寒性を高める資材を散布する。
北半球温帯:中国西部に続く秋の長雨――晩稲収穫と菜種播種にとって最大の脅威
寒露の頃も 中国西部では秋の長雨が続き、四川、重慶、貴州、陝西南部、湖北西部などで長期間の曇雨天となる。
こうした長雨は農業生産へ大きな影響を及ぼす。晩稲収穫期に雨が続くと、収穫した稲を十分に乾燥できず、発芽、カビ、品質低下を招く。菜種播種期に土壌水分が過剰になると、耕起や播種が難しくなり、播種後の種子腐敗や不揃いな出芽につながる。すでに収穫した秋作穀物も、高湿度の環境で貯蔵するとカビが発生しやすい。
農家は天気予報を細かく確認し、晴天を逃さず収穫・乾燥を進め、確実に収納する必要がある。菜種は晴天を選んで播種し、主排水溝、圃場内横溝、周囲排水溝を整えて十分な排水を確保する。
北半球温帯:台風――華南晩稲にとって最後の脅威
華南では寒露の頃にも台風の影響を受ける可能性がある。10月は台風活動の終盤だが、なお暴風雨をもたらし、晩稲の倒伏や落粒を引き起こす可能性がある。農家は台風警報を細かく確認し、成熟した晩稲を早めに収穫し、倒伏防止対策を強化する。
南半球温帯:春の干ばつと病害虫
南半球では春の半ば、10月上旬に冬小麦が出穂・開花期から登熟期へ進み、水需要が増える。春季降水が不足すると春の干ばつが発生し、出穂、開花、登熟、最終収量へ影響する可能性がある。同時に、春の気温上昇によって病害虫も多発期へ入り、アブラムシ、さび病、うどんこ病などについて圃場巡回と防除を強化する必要がある。
熱帯地域:乾季の始まりと収穫終盤
北半球の熱帯地域――東南アジア、インド――では乾季が始まり、水稲収穫は終盤へ入る。乾季初期には散発的な降雨が残る可能性があるため、収穫期の天候変化に引き続き注意する必要がある。南半球の熱帯地域――ブラジル、アフリカ――では乾季が続き、乾季休耕期へ入る。
読者からの声
世界中の暦と伝統文化を愛する人々が、同じ月を見上げる。
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